油圧ホースとは?どんなところで使われてるの?
今、日本では2020年の東京オリンピックに向けて建設ラッシュとなっていますが、その建設現場で欠かせないのがショベルカーやユンボ、トラックといった建設機械たちです。
これらの機械は「油圧装置」といい、「油圧装置」とは、油圧を利用して作動する装置のことで、「油圧発生装置」「油圧駆動装置」「油圧制御装置」などに分類されます。
エンジンからの動力を油圧ポンプで油圧力に変換し、その圧力を伝導するための配管として、油圧ホースが取り付けられ、その先に接続した機械や部位を動かしたり作動させたりするのです。
建設機械において油圧ホースとは、まさに命をつなぐ大事なパイプラインと言えるでしょう。
人間でいうところの血管のような役割を担い、油はさながら血液と言えるでしょうか。
シリンダーやモーターは筋肉、そして油圧ポンプが心臓のような位置づけとなります。
この中で一番壊れやすいのが油圧ホースであり、建設機械からの油漏れは、油圧ホース部分からの流出が7割ほどを占めています。
機器のその他の故障を含めても、油圧ホースの破損が5割ほどであることをみると、いかに油圧ホースが破損しやすい箇所であるかということが分かります。
その油圧ホースが機械の心臓部にあるということであれば、破損を最小限にとどめ、すばやく修理をしなければいけないということが想像できます。
重機の近代化により、配管材としての油圧ホースの人気が急上昇!
油圧ポンプに接続される配管としては、油圧配管(鋼管、鉄パイプ)なども使われています。
これらは耐久性に優れていて配管材としての寿命は長いが、油圧ポンプは稼働すると大きく振動し、その振動疲労で配管にヒビが入ってしまい、油漏れが起こります。
そのため振動の大きい箇所には、柔軟性の高い油圧ホースが使われます。
鋼管に亀裂などの破損が起きた場合にも、油圧ホースで対処することがあります。
昔は油圧配管といえば、鋼管や鉄パイプが主流でしたが、重機の重量規制や運搬の問題で軽量化が求められている上に、重機の精度が上がり動きも早くなってきています。
また、重機を小型化することによってより狭い場所での配管が必要となり、フレキシブルに形を変えられる油圧ホースが取って代わってきています。
ポンプの吐出圧力も210kgから320kgにまで精度があがり、かかる圧力も大きくなってきていますが、ホースの精度も同じように高くなってきているので、ゴム製の油圧ホースでも十分に耐えうることができます。
海外製の重機にはもっと圧力の高いものがありますが、油圧ホースの耐圧は役目や場所によって異なるため、高圧力にも耐えられるホースが適材適所で取り付けられます。
現在、日本における建設機械の油圧ホースのトップシェアは、現在、日本における建設機械の油圧ホースのトップシェアは、横浜ゴムが占め、業界内での信頼を大きく勝ち取っています。
中でも横浜ゴムは、全国に認定工場(代理店)やアセンブリステーション(組み立て作業場)があり、その中でも基幹指定店や指定店と呼ばれる、油圧ホースの販売や修理を行っている店舗があります。
基幹指定店や指定店には、QC(品質管理)工程があり、
- 耐圧試験機
- ワイヤーブレードの除去機
- 工程通りに設備が置けるスペースがおけるか
- 在庫の管理
- アッシー指示書(台帳)
などを横浜ゴムがサーベランス(監査)に来ます。
非常に厳しいチェック工程に合格して、晴れて基幹指定店や指定店となれるのです。
万が一重機が故障し、油圧ホースなどの取り替えも必要となってきた場合、油圧機器を製作しているメーカーさんに連絡をしれて購入するのが一番安全な方法です。
しかし、コストが高いことや修理・交換に時間がかかるなどして、大幅に作業が止まる可能性が出てきてしまいます。
油圧機器メーカーから油圧ホース製造会社に連絡が入り、ホースを取り寄せて修理する…。
その間現場の作業員は、締め切りまでに納品できるのかハラハラしながら、いつ戻ってくるか分からない機械を待ちわびていることでしょう。
そのような事態に陥らないために、基幹指定店や指定店があるのです。
実際には、電気屋さんやホース屋、鍛冶屋(溶接)が現場に来れば、実際には、専門の電気屋さんやホース屋、鍛冶屋(溶接)が現場に来れば、現場で何とか修理ができるのです。
熟練のスタッフなら、油圧機器やホースについても詳しく、元々付いていたホースの種類やサイズ、接続部分となる口金のことがよくわからない場合でも、的確に判断して修理してくれます。
こういったお店が身近にあることで安心して作業でき、修理コストも抑えられるなら、まさに一石二鳥ですよね。
油圧ホースと継手
重機などに取り付けられているものは、専用に加工された油圧ホースASSY品です。
ASSYとは、assembly(アセンブリー)の略で、複数が組み合わされた構成部品をさす言葉です。
つまり、ただ単にホース単体だけのことをいうのではなく、機械との結合部に当たる継ぎ手金具などが取り付けられたもののことを言います。
継ぎ手金具だけでなく、用途に応じて外装保護材などが装着されている場合もあります。
継ぎ手とは、2つの部分を接合する構造のことで、機械などの部材の結合に使われる物のことを指します。
配管などに亀裂が入った場合、その部分を取っ払って、この継手を使って配管の代わりにすることができます。
破損した箇所を同じ部品パーツでつくらなくても、その空間に機能が変わらないものが納まっていれば、全く同じもので作らなくても良いのです。
つまり、鉄製のパイプが破損した場合、鉄パイプだけを取り除き、ゴム製の油圧ホースを新たなパイプとして装着することが出来るということです。
また、鉄パイプに比べて油圧ホースの方が可動性が良いうえに、継ぎ手には様々な形があり、狭い機械の中でより少ない継ぎ目で配管を接続することができます。
継手によって、改造がいかようにもできるのです。
ジョイントが少なければ油漏れのリスクが下がるため、1つでも繫ぎ目を減らしていかに効率よく配管できるかで、作業効率が格段に上がります。
これらは、メカニックの空間デザイン力の技量でによって大きく変わるところとなってきます。
このデザイン力が油圧ホース修理サポートのお客様から熱い支持を得ているところでもあります。
豆知識|継ぎ手からの油漏れの仕組み
油圧装置を使う以上、油漏れ対策は必須となってきます。
いかに油漏れを防ぐか。
それは永遠の課題とも言えるでしょう。
パイプやホースを装置に接続するために継手を使用しますが、その際に油漏れを防ぐいくつかの方法があります。
- シート面で止める方法(メタルタッチシール)
- Oリングで止める方法(Oリングシール)
- ネジで油を止める(シールテープ・ネジシール)
- ゴムや銅などのパッキンで油を止める(ボンデットシール・パッキンシール)
継ぎ手金具はアダプター(電気の業界ではコネクター)とも呼ばれ、ホースとホースを繋ぐ場合やホースと機械を繋ぐ場合があります。
継ぎ手には、金属製のものもあれば樹脂で出来たものもあります。
継ぎ手金具には、カプラーやアダプター(コネクター)、両タケノコ、メガネジョイントなどの種類があります。
ちなみに、口金は継ぎ手をホースにかしめる金具のことを言います。
かしめ(加締め)
圧着することをいいます。
油圧ホースに口金具のソケット部分を挿入し、専用カシメ機を用いて、規定値に圧着します。
カシメ仕様書という、メーカーが指定している数字などを一覧にしたものががり、それを基にソケット部分の外形が規定値になるようかしめます。
現在の主流は 八方カシメ機というもので、八つの爪(ダイス)がカシメ機にセットされており、八カ所が同じ圧力でカシメられるもののことを言います。
油圧ホースの選定方法と流れ
油圧ホースと良く似たもので、洗浄機用高圧ホースがあります。
高圧ホースも高い圧力に耐えられますが、油に対する耐性はありません。
最近人気のケルヒャーの高圧洗浄機に使用されているものが、高圧ホースです。
機械によって適合するものが違うので、選ぶ場合は間違えないように気をつけましょう。
ホースのことを熟知した会社やスタッフにお任せするのが一番安全ですね。
ここでは、油圧ホースの選び方について、手順を追って見ていきましょう。
圧力選定・ホースサイズ
- ホースの印判・品番から知る
- ホースを切断して中の補強層を実測により判断する(層の数・構造)。おおよその「ホースの耐圧の範囲」がわかる(範囲内最大スペックを使用)
- 機械が出している圧力を調べる。機械の「どの部分」に付いているかだけで、ホースを選定する事ができる
- 熟練メカニックはホースを一目しただけで、どこの部分についているかも判定できる(曲がり方、口金具の種類、長さ、汚れ具合などから)
ホースの全長を測る
長さだけでなくて、90°、45°、他(角度付きの)口金具には、相対金具が必要となってきます。
ストレートの場合は、口金具の先端から先端を検尺機にて測定してください。
90°、45°他角度付きのネジ金具の場合は、袋ナット中心(シート面の中心)から中心までを全長として測定してください。
フランジ金具
フランジヘッドの中心から中心までを全長として測定します。
金具の選定
- メクラ(油止め)金具選定キット、メクラ(油止め)金具選定ゲージから選定
- 機械から選定
熟練者になると、メーカーおよび機種により、おおよその種類を選定する事ができます。
例えば、山の上などサービスカーが入れないときは、外側のホースに限り、目視で種類を特定して対応します
ホース金具の蔵出し・棚だし
- ホース・金具の印字・刻印の確認
- 汚れ・傷(特にシート面)、外傷がないかを確認
ホース切断
ホースには様々なサイズがありますが、メーカーや専門業種によって呼び方が異なってきますのでご注意ください。
例)ガスネジ ⇒ インチ、分、ミリ、ダッシュ表記、スパナサイズ、etc.
6mm(ミリ) = 1/4(インチ) = 2分(ぶ)=8 A =-04(※ダッシュ表記)= スパナサイズ19
9mm(ミリ) = 3/8(インチ) = 3分(ぶ)=10A =-06(※ダッシュ表記)= スパナサイズ22
油圧ホースの種類 補強層の種類
油圧ホースには、高圧に耐えるために補強層を取り付けた物があります。
補強層とは、ゴム製のホースの外側に巻き付けられた鋼線のことを言い、その巻き方によって「ブレード構造」と「スパイラル構造」に分けられます。
圧力の基準は、主に下記の3つとなります。
- JIS規格 ・・・日本の規格。ワイヤー関係なく圧力で判断
- SAE規格・・・アメリカの規格。ホースに関してはSAE、補強層の構造ベースで1ワイヤーか2ワイヤーを使用しなさいと指導が入る
- DIN規格・・・ドイツの規格。金具の規格であり、日本では取り扱っているところがあまりない。
油圧ホース修理サポートの得意分野である。海外の変なネジの大半はこの規格のもの
継ぎ手金具のワンタッチカプラ
口金具にワンタッチカプラをつけることで脱着が容易になります。
ワンタッチカプラとは継ぎ手の一種で、クイックジョイントなどと呼ばれることもあります。
カプラには2種類あり、対で使用されます。
脱着する際に、差し込む側を「オス」、受ける側を「メス」と呼びます。
同じシリーズのものでないとうまく噛み合ず、最悪の場合は使用出来なくなってしまうこともありますので、素人目で安易に選んでしまうと危険です。
とても便利なようですが、やはりメリットとデメリットがありますので、選定の際には十分考慮する必要があります。
メリット
- 普通は機械と油圧ホースホースを毎回切り離さないといけない事が多いが、ワンタッチカプラを使用することによって、脱着がスムーズにできる
- 機械をばらす時に油が漏れず、早い撤収ができる
デメリット
- 圧力を逃がすことが出来ない
- 脱着のコントロールが難しい
- 接続部の洗浄が常に必要(洗浄をおろそかにするとゴミが機械に入り、次なる破損に繋がりやすい)
- 残圧のコントロールが難しい つける時に圧がかかるのでつけにくい
大変便利ではありますが、取り扱い方法を熟知する事が大切です。
組み立て時の取り扱い方を間違えると油漏れの原因になりますので、誰でも扱えるものではないとうことを覚えていてください。
油圧ホースは現場で使われている機械にとっては欠かせないものであり、必ずと言っていいほど破損が生じるパーツでもあります。
生産にかかるコストを極力掛からないようにするのは、どこの現場においても永遠のテーマだと思います。
自己修理できない時は近くの修理工場に見てもらい、それでもダメならメーカーに連絡することで、コストの低減と時間の節約を実現することができます。
お困りの際は、是非油圧ホース修理サポートにご一報ください。
熟練のスタッフが貴社の機械を蘇らせます!